中国の驚きのラーメン事情
筆者は、ラーメンが大好きです。とはいうものの、毎日食べないといられないとか、1週間に3回くらい食べないと気が済まないとか、そこまでのこだわりはありません。単純に美味しいラーメンは好きと言ったタイプです。
以前中国をバックパッカーとして旅行したとき、中国と日本のラーメンの違いに少し驚きました。最初のショックは、上海でラーメンを食べたときでした。筆者の経験からしますと、ラーメン、中国語でいうなら拉麺ですが、拉麺という言い方自体少なく、どちらかというと少数民族地帯では、使われていました。例えば、新疆ウイグル自治区だったり、内モンゴル自治区などです。
少し上海の話しからずれてしまいました。漢民族中心の地域では、面条(ミェンティァオ)という発音に近いことばでラーメンのことを言います。このブログでは、複雑になってしまいますので、単にラーメンと表現することとします。上海の食堂で、鶏肉ラーメンのようなラーメンがあったので、注文してみました。だいぶん待ったと思いますが、出てきたラーメンを食べて、えっと思いました。スープに味がほとんどなく、鶏ガラを取っただけで、味付けなどされていないスープの中に茹でられた麺が入っているだけと言ったようなものでした。お世辞にも美味しいとは言えるものではないと感じました。
新疆では、拉麺と書いてあったので頼んでみたら、うどんのような麺をただ茹でただけのものがどんぶりに入れられて出てきました。スープなしです。みんなはどのようにして食べるのかとキョロキョロ周りを見渡していると、みんな辛い唐辛子をかけただけで食べていました。日本から行った私としては、うどんに唐辛子だけ入れて食べているようなものでしょでした。
その後あちらこちら周り、いろいろなラーメンを食べました。甘粛省蘭州市で食べた牛肉麺や、その蘭州市から十数時間ほど行った回族(イスラム教を信仰する民族)のレストランで食べたすいとんのようなものは、スパイシーなスープの中に入っていました。こちらのラーメンはスープはかなり辛いですが、エスニックな味付けがされていました。本当にさまざまな種類のラーメンがあることを知りました。蘭州の牛肉麺は、東京の神保町に進出しており日本でも食べられるようになりました。
考えてみると、餃子のブログでも書きましたが、要は麺が主役でありスープは脇役であるということでしょう。つまり、中国の粉食文化の産物であり、麺自体を味わうのだということかと思います。
日本のラーメンの本質
一方、日本のラーメンがなぜ美味しいか、ということを解釈学的に考えてみたいと思います。筆者以前から、日本のラーメンの背景にはお味噌汁に代表される出汁の食文化が発達しているからではないかと思います。そう主張すると、でもとんこつラーメンや醤油ラーメン、塩ラーメンなど味噌以外のものもあるじゃないかと言われてしまうかもしれません。一つ言えるのは、魚介の出汁などをベースに野菜やお肉なと他の材料を生かしつつ麺を同時に食べることができる日本のラーメン文化が基本系としてあり、それらが地域に根ざした発展を遂げてきたのではないかと仮定が立てられるのではないか、と考えています。
日本のラーメンは、欧米や中国の人たちからも、人気があります。ラーメンは、もともと中国のものですが日本で独自の発展を遂げました。今では、ラーメンもどんどん多様化してきます。中国と日本のラーメンのどちらが優れている、という問題ではなく、食文化の伝播、移転の問題は非常に興味深い側面を持っていると思います。
こんなことを書いていたらラーメンが食べたくなってきました。