グルメの町ブリュッセル
以前ベルギーで短期間仕事をしたことがあります。ベルギーは静かな街で、ヨーロッパの成熟を象徴するような街でした。東京からいきなり落ち着いた街に行ったので最初は少し戸惑いました。
ストランは夜の20時くらいからしか開かなかったり、土日休みはお店は閉まっているところは多く、パン屋だけは朝早くから開いていました。何事もゆったりと時間が流れていきます。
美味しいものもいっぱいありました。ワッフル、チョコレートだけでなく、ベルギーのフライドポテトであるフリッツ、ムール貝。
そんな中でも、比較的夕方早くからやっているレストランを見つけて食事をしていました。お昼は上司と昼間からビールやワインを飲みながら食事し、夜は一人で、美味しい料理を堪能する毎日。独身時代だからできたことです。先ほど述べた早くから開いているレストランとは、アジア系のレストランでした。ベトナム料理屋、中国料理は早い時間でも開いていました。
短期の駐在をする以前に、出張でベルギーに来た時は、イギリス、フランスと周り、辛いものに飢えていたので、ブリュッセルの繁華街のタイ料理レストランに駆け込み、「チリペーストをください~」と泣きついたことを思い出します。なので、なのでブリュッセルにアジア料理があることは知っていました。
移民の料理店の底力
実際、短期間でしたが、住んでみると、ブリュッセルのアジア料理の素晴らしさを感じることができました。多くのレストランはリピーターを抱えていて、知り合いが来店すると、抱擁し、キスするのは当たり前。ランチでもそうで、昼間からビールなどは当たり前。よくワインのボトルを飲んでいる人たちもよく見ました。
私は、多少中国語を話すので(ほんの少しの日常会話程度です)、中国料理によく行っていました。馴染んでくると、サービスしてくれ、そば粉のパンケーキにアイスクリームを添えたものをデザートに出してくれたりしました。それはまた最高でした。その店の主人の弟さんは米国のホテルで働いているとのこと。兄弟で異なる国で頑張って働いているというわけです。
私がよく行ったのは、中国料理のほか、ベトナム料理、タイ料理、カンボジア料理などでしたが、どれも美味しく、赤ワイン、白ワインに合わせてたら、それはそれはたまらないものでした。韓国料理もありますが、そんなに多くはなかったです。
移民として、やってきて美味しいもので、ネイティブの胃袋をつかむというのはたくましい生き方なのだなと思いました。アジアの食は世界中で通用する、そう思いましたが、その核心は米作文化を背景とした料理体系であることかもしれません。
フランスもたしかそうであったかと思いますが、料理が冷めないように日本でもあるようなロウに着火して温め続ける食器を使用します。細部まで行き届いたもてなしは文化の力ですし、そんな食文化の中でも、移民のひとたちの料理店は現地にしっかり根を下ろしていると思えました。
「ベルギーは美味しい」。それまでドイツ料理が美味しいと思っていましたが(もちろん今でも思っていますし、実際好きですが)、ベルギーの様々な料理を美味しさにはノックアウトされました。
グランプラスの裏通りで食べたムール貝。まだ日本進出前のウィッタメールのチェコレ―ト、街角のワッフル、そしてヴィンセントというレストランのステーキとチョコレートケーキ。忘れられない味がいっぱいあります。
休日には、王立美術館などを見学した後に、こうした美味しい店に立ち寄る。そんなことが、ベルギー滞在時の楽しみでした。
それと、スーパーが綺麗で大きいので、そうしたところを回っていろいろな食材に出会うのも、もう一つの楽しみでした。