天然塩について

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天然塩について

以前友人と料理に使うのに最も良い塩はなにかと、議論したことがあります。その友人は食通で、奥さんがグルメ系の出版社に勤めていることもあり、素晴らしい知識を持っていました。食材について議論したり、いろいろなお店を回り食べ歩いたりしていました。お互い駐在員を経験し、ニューヨークで落ち合い、グルメと音楽を楽しんだことがあります。今となっては懐かしい思い出です。

そうした議論の中でも、天然塩をめぐる議論は今でも大きな影響を与えていると思います。

いまは、いろいろな塩が販売されるようになりました。私たちが議論を重ねた頃は、天然の塩は、伊豆大島産くらいしかありませんでした。あとは、規制の関係で、天然塩から一旦ミネラル分を抜き精製し、再度ミネラル分を加えるということをしなければならなかったようです。

天然塩が作り出す料理の世界

今ではいろいろな塩が出回っており、フランスやイタリアの岩塩などもあります。その他の地域、例えばヒマラヤの岩塩やミネラルを含んだ天然塩もあり、かなり多様化してきていると思います。

以前は法律で天然塩を販売することが禁止されており、先程述べたような手間が加えられていたとのことです。今では、塩の専売をめぐる環境も変わり、かなりのバリュエーションの天然塩が手に入るようになった、というわけです。

私とその友人が議論したころの天然塩は、先ほども述べたように伊豆大島の天然塩でした。会員制のような形をとって販売していたといわれますが、詳細はわかりません。

タイ料理などを食べながら、この塩を使ってどのように料理を作るか議論していました。後に、私がお手伝いをしていた料理屋の隣の寿司職人のかたともこうした議論ができる縁ができました。隣のお店から別のお店に転職されて、そちらにもうかがっていました。そのときも、お寿司やそのほかの料理に使っている食材について教えていただきました。この方は、その後そのお店が閉まってしまったのと、私が海外駐在で海外に行ってしまったので、離れ離れになってしまいました。最近、テレビを見ていたら、アンジャッシュの渡部さんが行くお店の板前さん、ということで出演していてびっくりしました。スポーツジムのテレビでちらと見かけただけなので、どちらのお店にいらっしゃるか見逃してしまいました。確認できたら、また食材の議論ができたでしょうに。でも、ご活躍のようでうれしかったです。

皆さんは既にご存知と思いますが、天然塩は、しょっぱさに加えてほのかな甘味を持っています。この甘味は、例えば大豆をただ煮ただけで、ゆであがったあとに食べたときに感じる甘味にも共通しています。もちろんこのミネラル分は人間にとって必要な栄養素を含んでいるわけですが、こう言った天然の塩を使うことで、料理は密かにグレードアップしていきます。それに良い醤油や料理酒を使った場合、さらに相乗効果が高まります。

そのときこそ、魯山人のところで述べたように、創造的な料理への道が開けてきます。

日本には昔、あちらこちらに塩の道があったと思われます。生活に必要な塩を内陸に運ぶ道です。そこで運ばれたのは、海で取れた塩でしょう。いまは、生産と流通の発展で、またそれを入手することが可能になってきました。

今回も、料理の脇役を取り上げましたが、一度天然の塩を試してみてはいかがでしょうか?

てんぷらにつける塩、あるいは枝豆に振りかける塩などにもいいと思います。

あと大切なことは、丸元淑生氏が描写していますが、母親が塩梅を見る際に小さな小皿で何度も首をかしげながら、味をみながら調整していたように、こまめに塩味をみながら味を調整することでしょう。面倒かもしれませんが、このひと手間が料理の味を変えます。そして、その調整された味を家族や子供が味わえることこそ幸せだと感じます。

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